カリスマワンマン社長の講演2011年09月04日 17時24分44秒

五年に一回の資格更新の要件を満たすため、毎年受講しなくてはならない診断士の理論政策更新研修。現在は大阪支部に所属しているが、取得後、最初に登録してお世話になった先生方に再会する機会なので、毎年岐阜県支部に足を運んでいる。

白書等をもとにした、真面目な(苦笑)知識習得はもちろん大切だけど、楽しみなのは、この研修を一回しか開催しない岐阜県支部だからこそできる、スペシャルゲストによる講演があることだ。今年は地元岐阜県本巣市に本社を置く、森松工業グループの代表者松久信夫さんによる、東日本大震災が日本経済に与える影響を趣旨とするものであった。

終戦後の焼け野原に15坪の溶接工場を興し、いまやグループ全体で国内外に数十の拠点を有し数千名の社員を擁する企業に育て上げた岐阜を代表するカリスマもの造り社長だ。著書も多く、メディア露出も多い方とのこと。

先輩T診断士もブログで書いておられたが、一番衝撃的だった発言は、色々な表現を使いながらも、はっきりきっぱり「日本で研究開発をしてモノ造りをしても、もはや国際競争には勝てない。日本の各拠点はいずれ廃業せざるを得ない。」と言い切ったことだ。どうしてそう言い切れるかという、客観的な経験則による理由も的を射ていた。キーワードは、教育の荒廃と高賃金と、無資源。

国際的な経営環境の変化に、診断士は無力なのだろうか、と、数百人の受講者は重い気持ちになったと思うが、それが現実だ。それでも日々の仕事と社長に向き合っていかなくてはならない。

松久さんは、社長こそが、全ての社員よりあらゆる分野で優秀であるべきで、全ての経営判断は社長が行い、責任を取るのだと、力説しておられた。強権独断専行… 企業の成長期に最もフィットした経営管理でもあり、話を聞いていると、本当にワンマン社長なのかなあとも感じた。

しかしながら、表情とかしゃべり方を(席もたまたま前の方だったので)見ていると、空気を読みながら言葉を巧みに選びながら、話をしておられ、やはりただならぬ調整と気配りの人ではないかと思った。

あえて、キツイ表現やいわゆる差別用語をポロっと話した後、すぐに前言撤回してきちんとした言い回しに替えて話されるくだりが何度もあり、全て計算しての話の展開だと感じた。対立から、親和と共感と納得を生む日本語の選び方には、ただただ感心するばかりだった。

経済のことも、経営のことも、色々考える機会を得られた週末だった。素晴らしい人選と運営をしていただいた岐阜県支部の役員の方々に心から感謝します。

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