岩脇(いをぎ)蒸気機関車壕2011年05月21日 18時20分00秒

東海道線米原駅から岐阜方面に出発して2kmほど進んだ車窓に見える小山に、見るからに人工的に造られた洞穴のようなものが見える。

岐阜に通勤していたときから、ずーっと気になっていたこの穴の正体は一体なんだろう、ということで、朝ランニングの道すがら立ち寄ってみた。



米原市岩脇(いをぎ:難読地名!)の山、
間近で見ると、岩盤質を掘り進めた穴が二つ存在する。意味ありげな大きさのこの穴はやはり人工的に掘られたもので、蒸気機関車避難壕の看板が建っていた。

太平洋戦争末期、日本の輸送の大動脈である、東海道線を走る蒸気機関車を空襲から守るために手掘りで掘られた穴ということだ。いわば蒸気機関車版の防空壕だ。

完成を待たずに終戦を迎えため実際に使われることはなかったそうだが、埋められることなく遺された。
付近の掃除をしていた地元のおばさんに話を伺うと、地域の人が不燃物のゴミ捨て場にするなど荒れた状態が長く続いたそうだ。

戦争の悲劇を忘れないためにも、ここがそういう遺構であるということをきちんと残そうということで町の有志によりきちんと清掃され、ベンチや立て看板を整備して現在の状態となっている。
地域の人たちの努力に敬意を表したい。

おばさんはとても親切な方で、他にも山の登山道や、山の中腹にある清水寺の小さい版(失礼)の仏閣の説明を丁寧にして下さった。


団塊世代の方が大量に引退して、その方々にいかにお金を使ってもらうかは、日本経済浮揚の一つのポイントになる。
寺社仏閣や大自然はもちろん優良な観光資源だと思うが、昭和の高度成長期を想起させる産業遺構や鉄道遺構は、団塊の世代の好奇心を刺激する、良いコンテンツになるのではないかと思う。

洞穴から吹いてくるひんやりした風がランニングの汗を冷やしてくれ、癒されながら、そんなことを考えた。

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